大判例

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京都地方裁判所 昭和26年(ワ)396号 判決

原告 中野新次郎

被告 片岡良三郎 外一名

一、主  文

原告の請求は之を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

二、事  実

原告訴訟代理人は被告等は原告に対し連帶して金二十二万五千円及び之に対する昭和二十六年六月一日より完済に至る迄年五分の割合による金円を支払え、訴訟費用は被告等の負担とするとの判決を求め、その請求の原因として、原告は被告等に対しダイヤモンド時価金四十五万円の売買を委託したところ被告等は之を履行しなかつたので、昭和二十三年九月二十六日原告と被告等間に被告等は原告に対し同年十月十一日迄に現品を返還するか又は代金相当額を持参支払うかの何れかを履行する旨の契約が成立した。然るに被告等はその何れの債務も履行しなかつたので原告は被告等を相手どつて京都地方裁判所に同年(ワ)第七七八号損害金請求の訴を提起し、被告等は原告に対し金四十五万円を支払えとの勝訴判決を得、右判決に対し被告等より大阪高等裁判所に控訴(大阪高等裁判所昭和二十四年(ネ)第四四七号損害金請求控訴事件)したけれども控訴棄却の判決があり、該判決は確定した。その後被告等は原告に対し金二十二万五千円を支払つたが残金二十二万五千円の支払をしない。而して被告等の原告に対する右損害金債務は連帶債務であつたが、原告は前記訴訟に於てその連帶部分を請求しなかつたので改めて本訴に於て被告等に対し右残金二十二万五千円の連帶支払を求めるものであると述べた。<立証省略>

被告等訴訟代理人は主文第一項同旨の判決を求め、答弁として、本件訴訟は既に確定判決を経た京都地方裁判所昭和二十三年(ワ)第七七八号損害金請求事件(大阪高等裁判所昭和二十四年(ネ)第四四七号事件)とその当事者及び訴訟物を同一とするものであつて、右前訴において原告は被告等に対し分割債務として金四十五万円の支払を求めその請求を認容されているのであつて決してその有する債権の一部につきその支払を請求したものではない。従つて今にわかに本訴において右は連帶債務であるとして被告等に対し未払残金二十二万五千円の連帶支払を求めることは前訴の確定判決の既判力に牴触するものであつて許さるべきではないと述べた。<立証省略>

三、理  由

按ずるに成立に争のない甲第一号証及び乙第一号証によれば、原告は京都地方裁判所昭和二十三年(ワ)第七七八号損害金請求事件において本訴と同一の請求原因に基いて被告等に対し金四十五万円の支払を求め審理の結果「被告等は原告に対し金四十五万円を支払え」との勝訴判決を得右判決に対し被告等より控訴(大阪高等裁判所昭和二十四年(ネ)第四四七号損害金請求控訴事件)があつたけれども控訴棄却となつたことを認めることができ、而してその結果前記第一審判決が確定したことは当事者間に争がない。而して右確定判決は被告等が原告に対し金四十五万円の平等分割債務を有することを認めたものであること言う迄もない。然るに原告は原告に対する被告等の損害金債務は連帶債務であつたが前訴に於てその連帶部分を請求しなかつたので、本訴に於て被告等に対しその連帶部分につき支払を求めると主張するけれども、かゝる原告の主張が前記確定判決の既判力に反することは明白である。(確定判決はその主文に包含するものに限り既判力を有するから可分な権利関係の一部を訴訟物とした場合には既判力はその部分に限り生じ残余の部分には及ばないけれども、分割債務と連帶債務との関係はこれと異り可分な権利関係の一部として夫々併存することはあり得ない。)

果して然らば原告の本訴請求は失当であるから之を棄却し、訴訟費用の負担については民事訴訟法第八十九条を適用し主文のとおり判決する。

(裁判官 星智孝)

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